スペイン語「冠詞」の使い分けを徹底解説!

スポンサーリンク

スペイン語 冠詞 使い分 分からない

 

こんにちは。

メキシコに持ってきて良かったものを聞かれたら,食い気味に「目薬」と答えます。ドライアイの申し子「にごう(@InokioP)」です。

 

さて,今日はスペイン語の冠詞について!

その使い分けを徹底的に解説したいと思います。

 

スペイン語を習い始めると,早々にこの冠詞をやるのですが,実は使い分けが少し難しい!おかげで,スペイン語が苦手という人が大量発生してしまいます・・・。

 

実は,冠詞が分からない状態になってしまうのは・・・

定冠詞は,知っているもの・共通認識のあるものなど「特定のもの」の時につけて,不定冠詞は「ある~」とか「ひとつの~」など「不特定なもの」の時に使う

ということしか参考書には書いてないからなんです。しかし,この認識だけだとスペイン語のフィールドでは闘っていけない!もれなく迷子になります。

 

でも大丈夫!この記事でちゃんと解説します。

これを読めばもう冠詞で迷うことはなくなるはず!

 

ただ,長いのでお茶かお菓子を用意してから読むことをおすすめします笑

よし,いくぞ!

 

 

冠詞をつけることができる単語

スペイン語の単語には数えられる「可算名詞」と数えられない「不可算名詞」があります。英語と同じですね!

 

そして,冠詞をつけることができる単語は基本的に「可算名詞」です。

 

表にするとこんな感じ!

スペイン語 冠詞

(*不可算名詞でも冠詞をつける時があります。後で解説しますが,いまは冠詞をつけることができるのは可算名詞だけだと考えてください。)

 

 

可算名詞とは

可算名詞は不可算名詞以外の名詞と考えると簡単です。

 

では,冠詞をつけることができない「不可算名詞」に入るものは何でしょうか?

 

「固有名詞」「抽象名詞」と「物質名詞」です。

 

抽象名詞は,具体的な形を持たないものを指します。実際に手で触れないものと考えても良いかもしれません。

información(情報),ciudad(都市)

 

 

物質名詞は,液体・気体・製品の原料・食料品・天然現象など具体的だけど,一定の形は持たないものです。つまり,形が変わるもの!

  • 液体:agua(水) vino(ワイン)

  • 気体:aire(空気)  gas(ガス)

  • 原料:madera(木材) hierro(鉄)

  • 食料:sal(塩) pan(パン) queso(チーズ)

  • 天然現象:lluvia(雨) nieve(雪)

 

これらの不可算名詞以外のものなら可算名詞で,冠詞をつけることができます!

 

POINT
  1. 冠詞をつけることができるのは可算名詞
  2. 可算名詞不可算名詞(固有名詞・抽象名詞・物質名詞)以外のもの

 

 

冠詞の種類

スペイン語の冠詞には「定冠詞」「不定冠詞」があります。冠詞は後にくる名詞と性数が一致します。

 


定冠詞「el,la,los,las」は話し手・聞き手のあいだで「共通認識」のある特定の人や物を指し,「その~」「例の~」を意味します。 

スペイン語 冠詞

ex) El perro es muy bonito (その犬はとても可愛い).

→「その犬」がどの犬なのか「話し手も聞き手も分かっている」

 

 


不定冠詞「un,una,unos,unas」は同類のもの中から,ある人や物を取り出し,聞き手がその取り出した物や人がなにか特定できない=不特定な場合に使います。

 

意味は「ある~」「ひとつの~」となります。また複数形の場合には「いくつかの~」「約~」といった意味になります。

スペイン語 不定冠詞

説明がややこしいですね!

「ババ抜き」を思い出してみてください。

 

何枚かあるトランプの中から,次のターンの人に1枚引いてもらいます。次のターンの人が,まだそのカードを見ていない状態だと,そのカードが何であるか分からないですよね。

ババかもしれないし,ハートの5かもしれないし,別のカードかもしれない。もちろん,自分はそのカードがババだと分かっているけど,相手はなんのカードか特定できない状態です。この時,いま引いたカードにつく冠詞は不定冠詞になります。

ex) Saco una carta (あるカードをひく).

→なんのカードなのか聞き手は分かっていない


 

POINT
  1. 定冠詞= その人・物を話し手も聞き手も特定できる。
  2. 不定冠詞=話し手も聞き手も特定できない。または,話し手は特定できても,聞き手はできない。

 

ここまでは従来の参考書に書いてあることですね。

ですが,先にも述べた通り,残念ながらこれだけだとダメなんです。ということで,次から冠詞の使い分けで重要な部分を見ていきますよ!

 

教えてもらえない冠詞の使い分け

冠詞には「こういう場合には,この冠詞を使う」と決まった具体的な場面があります。実は,これを教えてもらえていないために「冠詞が分からない!」という事態が起きてしまうんです。

 

それでは,「定冠詞」「不定冠詞」「無冠詞」に分けて見ていきたいと思います。

 

定冠詞

定冠詞を使うべき場面は大きく8つに分けられます。

  1. 指示的用法
  2. 総称的用法
  3. 固有名詞が限定修飾されている場合
  4. 世界に1つしかないもの
  5. 身体の一部,身に着けているもの
  6. 敬称のついた人名
  7. 建物,島,祝祭日,作品名など
  8. 時刻

「こんなにあるの!」という声が聞こえてきそうですが,ひとつひとつは簡単なので大丈夫です。あとは,頑張って覚えるだけ!

 

1 指示的用法

すでに話題に挙がっているもの周囲の状況からそれと特定できるものの時に定冠詞をつけます。日本語で「その〇〇」と言える場合です。

 

例えば,その空間に1つしかないものが「周囲の状況からそれと特定できるもの」に当たります。その空間に椅子が1脚しかなかった場合に「その椅子に座る」と日本語でいうと,近くにいる人もどの椅子に座るか特定できますよね。

El chico es guapo.

(その男の子はかっこいい)

¿Cuándo es la boda?

(その結婚式はいつですか?)

 

2 総称的用法

その名詞が指すもの全体について述べるときにも定冠詞をつけます。「〇〇というものは~」と言えるときです。

El japonés es difícil.

(日本語というものは難しい)

El perro es un animal.

(犬というものは動物です)

 

 

3 固有名詞が限定修飾されている場合

これは例えばel Japón del siglo XX (20世紀の日本)」といった場合です。固有名詞である「Japón」が後ろから「del siglo XX」で限定されています。

 

4世紀でも,21世紀でもない「20世紀」の日本と日本の中でも時代を特定して指してますよね!

このように固有名詞が限定されている場合には定冠詞をつけます。

 

4 世界に1つしか無いもの

英語と同じですね。世界に1つしか無いものは,特定できるので定冠詞をつけます。例えば,自然現象・季節・方向・曜日・月日です。

el sol(太陽)

el sur(南)

la primavera(春)

el 17 de Marzo(3月17日)

※ただし「月」を単独でいう場合には「en enero(1月に)」と無冠詞になります。

 

5 身体の一部,身に着けているもの

Me lavo las manos. (手を洗う)

Me pongo la camisa. (シャツを着る)

 

6 敬称のついた人名

スペイン語の敬称は,例えば「señor・señora・señorita・doctor・profesor」です。この敬称が人名につくときには定冠詞を敬称の前につけます。

La señorita Navarro es francesa.

( ナバーロさんはフランス人です)

El doctor López es amable.

(ロペス先生は優しいです)

 

ただし,呼びかけで使うときには冠詞をつけず無冠詞にします。

Buenos días, señor López.

(こんにちは,ロペスさん)

 

7 建物,島,祝祭日,作品名など

世界に1つしかないものと同じ括りで良かったかも知れないですね。固有名詞で特定できるの定冠詞をつけます。

el Museo del Frida Carlo(フリダカーロ博物館)

el Palacio Real(王宮)

las Islas Canarias(カナリア諸島)

la Navidad(クリスマス)

el Quijote(ドン・キホーテ)

 

8 時刻

時刻にも定冠詞をつけます。スペイン語の数字はすべて女性名詞なので「la・las」を使います。

Es la una.(1時です)

Son las tres menos diez.(2時50分です)

 


 

これで定冠詞を使う場面8つを見終わりました。次は不定冠詞です。なんと4場面しかありません!

 

不定冠詞

不定冠詞を使うと決まっている場面は以下のとおりです。

  1. 単数形で「ひとつの」「ある~」
  2. 複数形で「いくつかの」
  3. 複数形+数詞で「約・およそ」
  4. 強調的用法

 

1 単数形で「ひとつの」「ある~」

不定冠詞の単数形「un/una」は名詞の前におくと,不特定を示す「ある~」や数的制限を示す「ひとつの~」といった意味になります。

Hay un puente al lado de la casa.

(家のそばにひとつ橋がある。)

Pasmos la tarde en un jardín.
(どこかの庭で午後を過ごしましょう。)

 

2 複数形で「いくつかの」

不定冠詞の複数形「unos/unas」は名詞の前におくと,「いくつかの」という意味になります。英語の「some」に近いです。

Hay unas revistas sobre el estante.

(棚の上に雑誌が何冊かある)

 

3 複数形+数詞で「約・およそ」 

複数形「unos/unas」+数詞「約・およそ」といった意味になります。

unos treinta minutos (約30分)

Hay unas cien casas alrededor del parque.

(公園の周りに100軒くらい家がある)

 

4 強調的用法

名詞が形容詞で修飾されている時に不定冠詞を使って名詞を強調ます。これが結構ひっかかりやすい用法なのですが・・・

 

次の3つのうち正しいのはどれでしょうか?

①Soy estudiante.

②Soy estudiante inteligente.

③Soy un estudiante inteligente.

 

 

正解は①と③です。①は大丈夫ですね。また後で説明しますが,職業などを一般的に表す場合には,冠詞はいりません。

 

では,②はなぜ間違いなのか。職業のときは冠詞いらないんだよね?となってしまいそうですが,このように名詞が形容詞で修飾されている場合には,③のように不定冠詞をおいて強調するのが正しいんです。

 

ただし,この強調用法は聞き手がその情報を知らない場合に使います。聞き手がもう知っている場合,セオリー通り,定冠詞を使います。それでも,あえて強調したい時には不定冠詞を使うのですが・・・

Él tiene unos padres amables.

(彼の両親は優しい。)

 

 


以上が不定冠詞でした。次は無冠詞!頑張りましょう!

 

 

無冠詞

そもそも冠詞をつけるのか,つけないのかというところで迷ってしまう方も多いと思いますが,無冠詞にするのは,後に続く名詞のイメージがぼんやりしていて具体的ではないとき。

  1. 名詞が限定されていない場合
  2. その名詞の有無や存在のみを問題とするとき
  3. 「前置詞+名詞」で材料・手段などを表す場合
  4. 身分・国籍・職業を表す名詞
  5. 科目など習得の対象となるもの
  6. 同格の名詞句 
  7. 熟語・慣用句
  8. 「Hace~」で自然現象を表す場合
  9. 対句で用いる名詞
  10.  2つ以上の名詞を列挙する場合

 

1 名詞が限定されていない場合

名詞を特に意味的にも数的にも限定しないで,ぼんやりイメージしている時には無冠詞にします。その上で,名詞を複数形にするのが通常です。

Quiero melocotones.(桃がほしい)

Compramos libros.(本を買いましょう)

↔ Compramos un libro.(1冊の本を買いましょう)

 

2 その名詞の有無や存在のみを問題とするとき

動詞「tener」「haber」の目的語となる名詞で,修飾語を伴わず,その名詞の存在を問題としている時には無冠詞になります。

No tiene teléfono.(電話を持っていない)

No tenemos hijos.(子供はいません)

Tengo dolor de cabeza.(頭が痛い)

¿Tienes calor?(暑い?)

¿Hay supermercado cerca de aquí?

(近くにスーパーはある?)

 

3「前置詞+名詞」で材料・手段などを表す場合

「前置詞+名詞」材料・道具・手段・原因・否定の表現をする場合、無冠詞になります。

材料: café con leche(カフェオレ)

道具: cerrar la puerta con llave(鍵でドアを閉める)

手段: en coche(車で)

原因: morir de cáncer(がんで死ぬ)

否定: sin techo(ホームレス)

 

4 身分・国籍・職業を一般的に表す場合

身分・国籍・職業は,漠然とその本質を示しているので無冠詞になります。

Soy estudiante.(私は学生です)

Ella es española.(彼女はスペイン人です)

 

※ただし,先にも説明した通り,修飾語を伴って強調されている場合には,不定冠詞を使います。(不定冠詞の強調的用法)

 

5 科目など習得の対象となるもの

hablar, estudiar, aprender, enseñarの後に続く科目名など,習得の対象となるもの無冠詞になります。

Estudio psicología.(心理学を勉強する)

Hablo japonés.(日本語を話す)

 

 

6 同格の名詞句 

名詞の後に続く,説明的な同格の名詞無冠詞になります。

Estoy en Madrid, capital de España.

 (私はスペインの首都であるマドリードにいる)

 

 

7 熟語・慣用句・ことわざ

決まった言い回しになっているものは,無冠詞の場合が多いです。

volver a casa(家に帰る)

llamar por teléfono(電話をかける)

Ojo por ojo, diente por diente.(目には目を歯には歯を)

 

 

8「Hace~」で自然現象を表す場合

hacerの三人称「hace」で自然現象を表す場合で,修飾語を伴わないとき無冠詞になります。

Hace frío.(寒い)

Hace sol.(日が照っている)

 

 

9 対句で用いる名詞

2つの言葉を並べて対照的に使う場合,そのどちらの名詞も無冠詞になります。

de  Norte a Sur (北から南へ)
de 3 a  7 (3時から7時)
las relaciones de  causa y efecto (因果関係)

 

 

10 2つ以上の名詞を列挙する場合

複数の名詞を列挙して言う場合は,それぞれの名詞は無冠詞になります。

Necesitamos tomate, patata, lechuga y aceite de aliva.

 

 


無冠詞これにて終了~!

次は,最後に「不可算名詞」で冠詞をつける場合をみていきます。

 

不可算名詞で冠詞をつける場合

もちろん,基本的には冠詞をつけることができるのは可算名詞不可算名詞は無冠詞がノーマルな状態です。ですが,特別な場合には不可算名詞にも冠詞をつけることがあります。

 

  1. 定冠詞-指示的用法
  2. 定冠詞-総称的用法
  3. 不定冠詞-強調的用法

 

1 定冠詞-指示的用法

日本語でも「その情報」とか「そのお金」とか言いますよね。こんな感じで,不可算名詞でも具体的に特定のものを指す時には定冠詞が使えます。

Me informará la información.

(私にその情報つたえてね)

 

 

2 定冠詞-総称的用法

その名詞が指すもの全体について述べるときにも定冠詞をつけます。「〇〇というものは~」と言えるときです。

El agua es líquido.

(水は液体だ)

 

 

3 不定冠詞-強調的用法

 その不定冠詞が修飾されて強調されている場合,不定冠詞をつけることができます。

Nos dieron un buen vino.

(良いワインをもらった)

 

 


お疲れ様です!これにて冠詞の使い分け投了です!

 

結構量があって大変だったと思いますが,覚えてしまえばもう冠詞で悩むことはなくなるはず?!

 

最後にまとめのシートを貼って終わりにしたいと思います。

では!良いスペイン語ライフを!

 

冠詞の使い分けまとめ

スペイン語 冠詞 使い分け